“クチコミ”とは“クチ・コミュニケーション”である。口頭でのコミュニケーション…生の声だからこそ信頼性がある。
人は本能的に共感・共有を求め、好きなモノ・コトを他人に話したがります。これは原始より言葉という道具を持つ人間が自らを守るため、第三者と情報の交換を行ってきたからなのではないでしょうか。また、噂話をすることでストレスや不安を軽減させる効果も研究により認められています。
クチコミは“うわさ”として人から人へ伝播してゆく力を持ちます。“人の口に戸は立てられぬ”といったように人の噂(クチコミ)はコントロール不可能であり、望もうが、望むまいが、生活者は絶え間なく生活の中で噂し、良い噂、悪い噂にかかわらず一瞬にして人伝に蔓延する強大なパワーを持つのです。
我々は毎日、処理可能な量を遥かに上回る情報にさらされ、情報過多に悩まされ続けています。そのため、日々の生活の中で信頼のできる情報を見つけ出すニーズが高まり、また金融工学の崩壊で過剰なグローバル資本主義に人々は疑問を持ちはじめ、生活者のパワーシフトにより信用判断はマスからコアへ…生活者の手に委ねられるようになったのです。
生活者に不都合な情報を隠し、一方的に都合のよいメッセージを流し続けた統制性のマネジメントの時代は終焉を迎え、透明性の時代の到来となりました。
ソーシャルメディアの出現によりクチコミはさらなるパワーを持ち、人々の価値を変えました。ソーシャルメディアにより今まで目に見えない共感・信頼・評判・尊敬などの価値が可視化され人々は、その大切さを共有するようになったのです。
ソーシャルグラフの上でつながった人々は企業や社会に対し意見を述べ、情報交換を行っています。まさに“ハイパークチコミ”の時代なのです。インターネット普及以来のパラダイムシフトといわれるこの時代、マーケティング・マネジメントは変革の時を迎え、良いものが良く、悪いものは悪いとされる“正直者がバカを見ない”新しい世界の始まりなのです。
